相続、事業承継の現状

 相続は、平成27年から相続税の基礎控除額が減額されたことにより、相続税の発生するケースが増えており、以前に比べより多くの方が関心を寄せる税目になっています。

また、平成30年より事業承継税制の要件等が緩和され、中小企業経営者の最大の悩みである事業承継に関する課税問題が解消されるものと思われましたが、様々なリスクが生じることがわかり、事業承継税制を適用した中小企業経営者は少数であり、事業承継は依然として進んでいないのが現状です。

多くの方が、相続対策や事業承継対策で悩んでらっしゃいますが、大部分の方がその悩みを打ち明けられる相談相手がおらず、困ってらっしゃいます。

なぜ、このようなことになるのでしょうか?
「相続対策や事業承継対策は相続税の問題なのだから税理士が相談相手になるべきではないか?」といった声が聞こえてきそうですが、実はそうではないのです。

相続対策や事業承継対策は、おっしゃるとおり相続税のテリトリーになります。
ですが、相続税を得意とする税理士は想像以上に少ないのです!
それはなぜなのか・・・。

税理士になる方法

上記の問題は、税理士になる方法を突き詰めていくと理解がしやすいです。

税理士は税理士試験5科目を受験し、合格すると税理士として登録することができます。
税理士試験科目には以下のものがあります。

簿記論450、財務諸表論450
法人税法600、所得税法600
相続税法450、消費税法300、国税徴収法110、酒税法200、住民税200、事業税200、固定資産税200

税理士試験5科目のうち、「簿記論」と「財務諸表論」は必須、「法人税法」と「所得税法」は選択必須(どちらかをとればよい)、残りは「相続税法」「消費税法」「国税徴収法」などから2科目を選択すればよいことになっています。

ここでポイントになるのが、上記の試験科目の後ろにある数字です。
これは、各試験科目の合格レベルに達するまでの勉強時間数を示しています。
そうなりますと、少しでも早く税理士になりたい人は選択科目である2科目はできるだけ短い時間で合格レベルに達することができる科目を必然的に選択することになり、勉強時間数の多い相続税は避けられる傾向にあります。

また、税理士は、税理士試験5科目合格だけではなく、大学院を卒業する、公認会計士や弁護士になる、税務署に長年勤めることによっても税理士になることができます。
つまり相続税を勉強して税理士になっている方はかなり少ないのです。

ましてや、相続税は実務にて、いかに豊富な経験を積んでいるかどうかがとても重要です。
相続税の申告は所得税や法人税の申告と違い、毎年発生するわけではないので、申告件数は少なく、一般の会計事務所に勤めているだけでは十分な経験を積むことができません。
そのため、相続業務をメインに税理士として活動するには、相続税を専門とする会計事務所や大手税理士法人の資産税部門に所属して経験を積んでいない限り、非常に難しいと言われています。

その結果、相続に苦手意識をもつ税理士も多く、相続対策や事業承継対策が進んでいないという状況を生んでいるのです。

一生で数えるほどしか経験しない相続や事業承継をどの税理士に相談するかはとても大事です。
悔いのない相続、事業承継とするためにも、相談する相手を間違えないようにしてください。

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